聞きたいことは沢山あった。

言いたいことも、伝えたいことも。

あったはずなのに...うまく言葉にならない。

何から聞けばいいのか分からない。

ただ、先輩が会いに来てくれた事が、

久しぶりに見た変わらない笑顔が、

素直に嬉しかったんだ。

でも、何を聞いても答えてはくれない先輩。

ただ「俺のせいじゃない。」と否定するだけ。

俺はもう、何も聞けなかった。

先輩は俺に一通の手紙を渡した。

「斗亜くん、ありがとう!」

今までに見た度も笑顔よりもきれいな表情と、「ありがとう」の言葉を残して。

....先輩は部室を出て行った。