健お兄ちゃんは、綾音が小学校のときの友達だ。
綾音は、健の妹の、咲希と仲がよかった。
そして、咲希の家に遊びにいったとき、初めて咲希に兄がいることを知った。
咲希は、よく健とケンカをしているらしい。
そして、綾音の前でも2人はケンカを始めた。
綾音は、そんな2人がうらやましかった。
綾音は一人っ子で、きょうだいがいないからだ。
ある日綾音は、ケンカをしている咲希と健の前で言った。
「咲希ちゃん、いいなぁ。お兄ちゃんがいて」
綾音の言葉に、咲希は目を丸くしていた。
「どこが!?」
「だって、仲良くできるお兄ちゃんがいるのは…1人じゃないのは、うらやましいよ」
そのころの綾音の両親は共働きで、家に帰ってもひとりぼっちだった。
だから、家に帰って誰かがいるというのがうらやましかったのだ。
「じゃあさ、綾ちゃん、健兄ちゃんのことをお兄ちゃんって呼んだら?」
「え?」
「健兄ちゃん、いいでしょ?」
「もちろん、いいよ!」
そういって、健お兄ちゃんは笑った。
「でも咲希ちゃん、なんで?」
「健兄ちゃんは本当の兄ちゃんにはなれないけど、兄ちゃんと思えば寂しくないでしょ?」
「だけど…」
「いつだってうちに来ていいから!ね?」
「…いいの?」
「うん!」
そう言って、咲希はほほえんだ。
