着替え終わり、メイクもした時――

またもや電子音。

今度はインターホンだ。

こんな顔見せたくないが、きっとメイクでカバーされてるはず。

それに今日は誰も訪れる予定はないし、
宅急便か何かだろう。

あたしはドアを開けた。


「はーい」

「おい、お前は誰だ!」

「え?」


ドアを開けると綺麗な男の人の顔。


「・・・いや、あなたこそ誰ですか?」

「俺の質問に答えろ!」


完璧に不審者じゃないか。

・・・いや、新手のセールスかなんかかもしれない。

ここはスルーしよう。


「知らない人に話しかけられたら逃げなさいって
お母さんに習ったんで・・・」


あたしは完全に怪しんで、ドアを閉める。

・・・それを完全に足で防いだ男。


「不審者扱いするな。」

「いや、あなた完璧不審者ですよね?
言っときますけどあたし貧乏なんでセールスとか
無駄ですから」

「誰がセールスだ」

「だからあなた。」

「舐めてるのか、お前!」


めんどくさい。

なんであれから初めて話した相手が
こんなタチの悪い男なんだ。


「お前、電話の女だろう!」

「えっ、電話っ?」


そういえばすっかり忘れていたが、
この男の声は電話の彼に似ている。