オレの父さんは巷じゃ有名な人だった。

刺繍をやらせれば右に出る者はいないというほどすごいらしいがオレにはよくわかんない。
そんな父さんは必ず6時には帰ってくる。
仕事を持って。
そうして家で仕事の続きをする。

オレはそんな父さんの背中を見るのが好きだった。

猫背な父さん。
小刻みに動く体。
家で仕事が終わったら自慢気にオレに見せてくる。

そんな父さんが好きだった。