「紙飛行機?何でまたそんなモノ……」

「懐かしくない?ちっちゃい頃、友達とどこまで飛んでいくか競争しなかった?」


藤原は窓の外の崩れかかった卵の黄身みたいなオレンジ色の太陽を、まぶしそうに眺めた。

彼女の長いまつげが太陽の光に反射して、キラキラ光って見える。


俺は、藤原から視線を逸らして答えた。

「……ねえよ」

藤原はどこか掴み所がなくて、俺は時々、彼女との接し方に困る。

「そっか」


藤原は素っ気ない俺の言葉に別段気を悪くした風もなく、立ち上がると窓を開け放した。

すうっと冷たい風が教室に流れ込み、藤原の肩にかかったクセのない髪を揺らした。


「森本、どこまで飛ぶか見てて」

「はぁ?何で俺が……」


俺はブツブツ文句を言いながらも、手招きする藤原の笑顔に吸い寄せられるように、窓に近づいた。