家族だったらそのまま出ようと、折りたたみの携帯を慌てて開けようとしたせいで、手から滑り落ちてしまう。
急いで拾い上げ、表示を見た。
相手は「レイジ」と出ていて、しかも、今の拍子で通話中になっている。
宮下は予想外の展開に顔を顰めながらも、そのまま廊下へ歩きながら電話をとった。
「もしもし。突然お電話に出て申し訳ありません。初めまして、エレクトロニクス本店店長の宮下と申します」
普段の営業モードでそのまま会話することにする。
『え? あれ? これ愛ちゃんの携帯ですよね?』
男の、しかも「愛ちゃん」という愛称に、ある程度のショックを覚えながらも、
「はい、香月さんの直属の上司に当たります。すみません、勝手にお電話に出て申し訳ございません」
『……どうかしたんですか?』
察しはいいようだ。電話口の後ろは静かで、低い声がよく通り、耳に入ってくる。
だが、相手が誰だかわからないのに、こちらも事情を話すわけにはいかない。
「勝手にお電話に出ておきながら失礼を承知でお伺いしますが、ご家族の方ですか?」
相手は堂々と言い切る。
『ルームシェアマンションで同居しているレイジです。矢倉玲人です』
名前に聞き覚えはないので、社員ではなさそうだ。
「あの……」
同居人が家族に当たるのかどうか疑問に思いながらも、相手は大人でしかも、香月の携帯にかけてきている仲なので、大丈夫だろうと判断して内容を話す。
「実は今香月さんが今病院で手当を受けていまして、早急に迎えに来て頂きたいのですが……」
『病院!?』
「実は、昼の一時頃にお客様にテレビの設置を見にくるように誘われて、それで私と香月さんと設置業者が一緒に行ったのですが、そこで出されたお茶を飲みまして……その中に酒が入っていたようなんです。今は診察を受けてベッドで眠っていますが、アルコールが体に合わなかっただけのようで、しばらくすれば起きられるそうです。
私がついていながら、大変申し訳ありませんでした」
『え? ……お客さんの家で?』
「はい。飲んだ途端、その場で倒れました。今は眠っているだけですが」
『犯罪じゃないですか! 場所は?』
「桜美院総合病院です」
『遠いな……。ちょっと僕、今すぐは出られないんですけど、僕が迎えに行きますから』
急いで拾い上げ、表示を見た。
相手は「レイジ」と出ていて、しかも、今の拍子で通話中になっている。
宮下は予想外の展開に顔を顰めながらも、そのまま廊下へ歩きながら電話をとった。
「もしもし。突然お電話に出て申し訳ありません。初めまして、エレクトロニクス本店店長の宮下と申します」
普段の営業モードでそのまま会話することにする。
『え? あれ? これ愛ちゃんの携帯ですよね?』
男の、しかも「愛ちゃん」という愛称に、ある程度のショックを覚えながらも、
「はい、香月さんの直属の上司に当たります。すみません、勝手にお電話に出て申し訳ございません」
『……どうかしたんですか?』
察しはいいようだ。電話口の後ろは静かで、低い声がよく通り、耳に入ってくる。
だが、相手が誰だかわからないのに、こちらも事情を話すわけにはいかない。
「勝手にお電話に出ておきながら失礼を承知でお伺いしますが、ご家族の方ですか?」
相手は堂々と言い切る。
『ルームシェアマンションで同居しているレイジです。矢倉玲人です』
名前に聞き覚えはないので、社員ではなさそうだ。
「あの……」
同居人が家族に当たるのかどうか疑問に思いながらも、相手は大人でしかも、香月の携帯にかけてきている仲なので、大丈夫だろうと判断して内容を話す。
「実は今香月さんが今病院で手当を受けていまして、早急に迎えに来て頂きたいのですが……」
『病院!?』
「実は、昼の一時頃にお客様にテレビの設置を見にくるように誘われて、それで私と香月さんと設置業者が一緒に行ったのですが、そこで出されたお茶を飲みまして……その中に酒が入っていたようなんです。今は診察を受けてベッドで眠っていますが、アルコールが体に合わなかっただけのようで、しばらくすれば起きられるそうです。
私がついていながら、大変申し訳ありませんでした」
『え? ……お客さんの家で?』
「はい。飲んだ途端、その場で倒れました。今は眠っているだけですが」
『犯罪じゃないですか! 場所は?』
「桜美院総合病院です」
『遠いな……。ちょっと僕、今すぐは出られないんですけど、僕が迎えに行きますから』

