絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅰ 

「どうでもいいから!!」
 遠慮なしに体重をかけてきているその肩を後ろに押し、反対に自らが起き上がった。
「なんなんですか!!」
「やらせろ」
「……」
「やらせろって。1回くらい」
 ショックだったんだと思う。逃げる暇がなかった。
 思い切り後ろに押し倒された。
 また、唇を重ねてくる。
「んー!!」
 肩を思い切りたたく。それほど厚くはない。頑張れば力でどうにかなりそうなのに。
 邪魔だとばかりに、捕らえられ、また指をからませて、つよくシーツに押しつけてくる。
 ハッと思いついた。
「んーんーんーん!!」
 携帯、携帯の着信のことを……。
「んーんーんーんー!!」
 息継ぎの合間でようやく
「けいッ……」
 多分聞いてない。
 キス自体は全然意味のない、力で唇を押さえつけて舌を入れているだけ。
 感じるポイントをついてくるような気配はない。
 次の瞬間、スキをついてようやく唇を離した。
「携帯鳴ってた!」
 とだけ叫ぶ。
「……」
 また唇が近づく気配がしたので、もっと顔を逸らし、
「彼女からだよ! 優って出てた!!」
 これでどうにかなるだろう。
「いっ!!」
 絡ませている手に信じられないくらい力を込めてきた。指と指の間の指が思い切り私の手の平を拉げようとしている。
「イタイー!! いたいッ!!」