「ほんと、真藤さんってめっちゃかっこいいですよねー、ね、香月先輩」
まだ20歳になって間もない佐伯春奈は、大きな瞳をくりくりさせ、更に大きな口を伸び伸び開いて、胸をときめかせようとしている。
「……どうですか、永作さん?」
特に、佐伯に賛同する気もなかった香月はスル―し、隣で綺麗なランチョンマットに自家製の幕の内弁当を広げる永作知美に意見を求めた。
「悪くはないと思います」
こちらも特に興味がないようだ。
佐伯は更に目を大きくさせて、
「私が知り合った中で、会社の中で一番だと思います!」
「……うーん」
香月はフル回転させながら過去を検索するが、永作はそれを待たずに
「一番格好良い人は他にいると思います」
「えー!?」
2人は周囲も構わず声を上げた。
「どっ、どっ、ど、」
香月は、いつも自分の世界の中でしか息をしていないような永作の、衝撃的なセリフに言葉をかんでしまう。
「香月先輩落ち着いて!」
「どっどっ、どこに!?」
「落ち着いて、落ち着いて」
笑い声と一緒に、香月を制しようとする佐伯の腕が伸びて来る。
「だって、どこに他に格好いい人がいるの!?」
「そんな私に怒られても……」
「どんな人、どんな人!?」
香月は身を乗り出して、お人形のような上品な永作の顔に近づいた。
「どんな人と言われても……」
永作は少し照れながらも応える。
香月の興奮は冷めやらず、永作の返事を聞く前にフライングしてしまう。
「まっ、まさか、依田さん、とか言うんじゃない!?」
「んなことあるわけないじゃないですかー!」
今度は佐伯が笑いを通り越して怒りを素直に表した。依田は倉庫担当の正社員だが、まだ入社したてで若く、かろうじて髪の毛が茶色ということでオシャレしては見えるが、それも、何かをカバーできているのかというと、微妙なラインだ。仕事はそこそこできてはいるようだが、一言でいえば、永作お嬢様が相手にするような身分の男ではない。
「いや(笑)、だってさあ。なんとなく、一番確率低いところから攻めようと思って……」
「高いところからにしてください!」
「じゃあ高いってどこ?」
まだ20歳になって間もない佐伯春奈は、大きな瞳をくりくりさせ、更に大きな口を伸び伸び開いて、胸をときめかせようとしている。
「……どうですか、永作さん?」
特に、佐伯に賛同する気もなかった香月はスル―し、隣で綺麗なランチョンマットに自家製の幕の内弁当を広げる永作知美に意見を求めた。
「悪くはないと思います」
こちらも特に興味がないようだ。
佐伯は更に目を大きくさせて、
「私が知り合った中で、会社の中で一番だと思います!」
「……うーん」
香月はフル回転させながら過去を検索するが、永作はそれを待たずに
「一番格好良い人は他にいると思います」
「えー!?」
2人は周囲も構わず声を上げた。
「どっ、どっ、ど、」
香月は、いつも自分の世界の中でしか息をしていないような永作の、衝撃的なセリフに言葉をかんでしまう。
「香月先輩落ち着いて!」
「どっどっ、どこに!?」
「落ち着いて、落ち着いて」
笑い声と一緒に、香月を制しようとする佐伯の腕が伸びて来る。
「だって、どこに他に格好いい人がいるの!?」
「そんな私に怒られても……」
「どんな人、どんな人!?」
香月は身を乗り出して、お人形のような上品な永作の顔に近づいた。
「どんな人と言われても……」
永作は少し照れながらも応える。
香月の興奮は冷めやらず、永作の返事を聞く前にフライングしてしまう。
「まっ、まさか、依田さん、とか言うんじゃない!?」
「んなことあるわけないじゃないですかー!」
今度は佐伯が笑いを通り越して怒りを素直に表した。依田は倉庫担当の正社員だが、まだ入社したてで若く、かろうじて髪の毛が茶色ということでオシャレしては見えるが、それも、何かをカバーできているのかというと、微妙なラインだ。仕事はそこそこできてはいるようだが、一言でいえば、永作お嬢様が相手にするような身分の男ではない。
「いや(笑)、だってさあ。なんとなく、一番確率低いところから攻めようと思って……」
「高いところからにしてください!」
「じゃあ高いってどこ?」

