「あれ、だめです?」
「えーと、そう! 宮下店長! お話になられました?」
「毎週会ってますからね、いまさら話すことなんて何も(笑)」
っとに、調子のいい男である。
「宮下ってさっきの?」
榊はようやく他人のことに興味を持ち始めた。
「あぁ、えーと、同級生、でしたっけ?」
「そうなんですよ。あれ、宮下店長をご存知なんですか? 榊先生」
「さっき名刺もらった」
「同級生なんですよ。大学のときの」
「彼も元医師?」
「いいえ、サークル仲間で。奴は経営です」
2人はなんとなく黙る。
だが坂野崎一人は元気だった。
そのせいで疲れたのではない。8ミリ男のせいでもない。
知らないうちに気が張っていたのか、榊が10時頃に消えたからかなんなのか、ハイヒールの足もだるくなり、2次会もさながら、12時前に誰にも言わずに帰宅した。
溜息をつきながら玄関を開けた瞬間また疲れる。奴がちょうどいいタイミングで部屋から出てくる。レイジだ。まさか家の中に2人きり!?
いや、今まで何度もそういう瞬間があったのかもしれないが、こうやって意識すると少し嫌なものである。
「……」
「どっ、どうしました!?」
レイジは靴を脱ごうとしているこちらにふらふらと近づいてくる。まさか変な気でも起こしたんじゃないだろうな!!
「眠れなくて……」
「え……。と、まだ早いからじゃないですか?」
なんとなく深夜過ぎてまでいつも仕事している雰囲気だから。それに比べれば12時すぎなんて早い方だろうと勝手に想像して喋る。
「いや……」
彼は何をあきらめたのか溜息をつくとソファになだれ込んだ。
「不眠症」
「ふ、みんしょう……なんですか。眠れないんですか?」
そのまんまじゃないか!! 言って後悔する。
「うん……いつも寝ないから、たまに寝ようとしても眠れない」
「……お薬とか……」
「飲んだ。だからそのうち眠くなるとは思うんだけど」
「そうですか……」
って私にできること何かありますか?
とりあえずドレスを脱ぐために着替えてこよう。
「膝枕してくんない?」
え?
「ひ、ヒザマクラ、ですか!?」
「うん」
そこで「よかったら」とか言わないんだよなあ、この人。
着替えようかどうか一瞬迷ったが、どうせクリーニングに出す服だし、どうでもいいか、とそのままソファに座る。
「眠れそうですか?」
「どうかな……」
彼はいやらしい雰囲気を醸し出すこともなく、ソファに上がるとただトンと頭を太ももに置いただけで、すぐに目を閉じた。
寝ようと努力しているのかもしれない。
「今日なんだったの?」
まだ寝てないのか……。
「ドレスだからですか?」
「うん」
「総会ですよ」
「ふーん……」
「えーと、そう! 宮下店長! お話になられました?」
「毎週会ってますからね、いまさら話すことなんて何も(笑)」
っとに、調子のいい男である。
「宮下ってさっきの?」
榊はようやく他人のことに興味を持ち始めた。
「あぁ、えーと、同級生、でしたっけ?」
「そうなんですよ。あれ、宮下店長をご存知なんですか? 榊先生」
「さっき名刺もらった」
「同級生なんですよ。大学のときの」
「彼も元医師?」
「いいえ、サークル仲間で。奴は経営です」
2人はなんとなく黙る。
だが坂野崎一人は元気だった。
そのせいで疲れたのではない。8ミリ男のせいでもない。
知らないうちに気が張っていたのか、榊が10時頃に消えたからかなんなのか、ハイヒールの足もだるくなり、2次会もさながら、12時前に誰にも言わずに帰宅した。
溜息をつきながら玄関を開けた瞬間また疲れる。奴がちょうどいいタイミングで部屋から出てくる。レイジだ。まさか家の中に2人きり!?
いや、今まで何度もそういう瞬間があったのかもしれないが、こうやって意識すると少し嫌なものである。
「……」
「どっ、どうしました!?」
レイジは靴を脱ごうとしているこちらにふらふらと近づいてくる。まさか変な気でも起こしたんじゃないだろうな!!
「眠れなくて……」
「え……。と、まだ早いからじゃないですか?」
なんとなく深夜過ぎてまでいつも仕事している雰囲気だから。それに比べれば12時すぎなんて早い方だろうと勝手に想像して喋る。
「いや……」
彼は何をあきらめたのか溜息をつくとソファになだれ込んだ。
「不眠症」
「ふ、みんしょう……なんですか。眠れないんですか?」
そのまんまじゃないか!! 言って後悔する。
「うん……いつも寝ないから、たまに寝ようとしても眠れない」
「……お薬とか……」
「飲んだ。だからそのうち眠くなるとは思うんだけど」
「そうですか……」
って私にできること何かありますか?
とりあえずドレスを脱ぐために着替えてこよう。
「膝枕してくんない?」
え?
「ひ、ヒザマクラ、ですか!?」
「うん」
そこで「よかったら」とか言わないんだよなあ、この人。
着替えようかどうか一瞬迷ったが、どうせクリーニングに出す服だし、どうでもいいか、とそのままソファに座る。
「眠れそうですか?」
「どうかな……」
彼はいやらしい雰囲気を醸し出すこともなく、ソファに上がるとただトンと頭を太ももに置いただけで、すぐに目を閉じた。
寝ようと努力しているのかもしれない。
「今日なんだったの?」
まだ寝てないのか……。
「ドレスだからですか?」
「うん」
「総会ですよ」
「ふーん……」

