言うと思った。
「だってこんな機会……」
「ならディナーでも行こう」
「明々後日?」
「明後日がいいな……」
「明々後日は?」
「明々後日でもいいけど」
「じゃあ両方」
「(笑)。両方でもいいよ」
やっぱり、何も否定せずに笑ってくれる。
「じゃあ両方にする。美味しい和食が食べたいな」
「国際ホテルの中にあるよ。そこにしよう」
すぐ……客室に上がれる。
そんな計算、まさか榊の中であるはずがない。
「うん。じゃあまた。連絡して?」
「あぁ」
「そういえば坂野咲先生……久しぶりだな……」
「ナンパの誘いに乗るなよ」
「乗りません」
香月は笑顔で応える。
なぜかこういう瞬間、自分達は終わったのだと確認してしまう。
もう始まることは決してないのに、こうやって約束をしてしまうのだと、後悔してしまう。
「今のが店長? 愛も東都本店勤務?」
「あ、うん、そう」
「ふーん……それにしても……」
「何?」
「もっと綺麗になりそうなのにな」
「何が?」
「……」
「私?」
「今でも充分だけど」
「なにそれ(笑)。服が変なのかなあ」
香月のドレスはどうということはない。黒のキャミソールのひざ下のワンピースに、ショールを羽織った結婚式でも十分使いまわせるフォーマルドレスだ。
「ロンドンで買えばよかったのに」
「だって高いのしか薦めないじゃない。普通の人はそんなにお金もってないの」
「だからカードで支払うって言ったじゃないか(笑)」
「……この服、そんなに変かなあ……」
確かにそんな高い物ではない。ショールと靴とパック、全て含めて7万。榊が薦めてきたものの3分の1の値段である。
「いや、そうじゃないよ」
何が可笑しいのか、榊は少し笑ってボーイからグラスを一つとり、手渡してくれる。
「ありがとう」
「今日の予定は?」
「今日?!」
「このまま上がり?」
さ、誘われているの……?
「き、今日は……」
「うわー!! 香月さん!!」
なにこのタイミング……。
しかも背後から大声で現れるか……坂野咲医師……。
「今日は一段とお美しい」
ま。利用するか。
「でしょう? なのに榊先生ったらイマイチだ、なんていうんですよ」
「え!? 先生、どこがだめなんですか??」
「……安物のドレス」
グラスを傾けながらさらりと一言。
「カー!! 全く香月さんのよさが全く分かってない!! 香月さん、あっちで2人で飲みなおしましょう!」
「あ、いえ、それは……」
「だってこんな機会……」
「ならディナーでも行こう」
「明々後日?」
「明後日がいいな……」
「明々後日は?」
「明々後日でもいいけど」
「じゃあ両方」
「(笑)。両方でもいいよ」
やっぱり、何も否定せずに笑ってくれる。
「じゃあ両方にする。美味しい和食が食べたいな」
「国際ホテルの中にあるよ。そこにしよう」
すぐ……客室に上がれる。
そんな計算、まさか榊の中であるはずがない。
「うん。じゃあまた。連絡して?」
「あぁ」
「そういえば坂野咲先生……久しぶりだな……」
「ナンパの誘いに乗るなよ」
「乗りません」
香月は笑顔で応える。
なぜかこういう瞬間、自分達は終わったのだと確認してしまう。
もう始まることは決してないのに、こうやって約束をしてしまうのだと、後悔してしまう。
「今のが店長? 愛も東都本店勤務?」
「あ、うん、そう」
「ふーん……それにしても……」
「何?」
「もっと綺麗になりそうなのにな」
「何が?」
「……」
「私?」
「今でも充分だけど」
「なにそれ(笑)。服が変なのかなあ」
香月のドレスはどうということはない。黒のキャミソールのひざ下のワンピースに、ショールを羽織った結婚式でも十分使いまわせるフォーマルドレスだ。
「ロンドンで買えばよかったのに」
「だって高いのしか薦めないじゃない。普通の人はそんなにお金もってないの」
「だからカードで支払うって言ったじゃないか(笑)」
「……この服、そんなに変かなあ……」
確かにそんな高い物ではない。ショールと靴とパック、全て含めて7万。榊が薦めてきたものの3分の1の値段である。
「いや、そうじゃないよ」
何が可笑しいのか、榊は少し笑ってボーイからグラスを一つとり、手渡してくれる。
「ありがとう」
「今日の予定は?」
「今日?!」
「このまま上がり?」
さ、誘われているの……?
「き、今日は……」
「うわー!! 香月さん!!」
なにこのタイミング……。
しかも背後から大声で現れるか……坂野咲医師……。
「今日は一段とお美しい」
ま。利用するか。
「でしょう? なのに榊先生ったらイマイチだ、なんていうんですよ」
「え!? 先生、どこがだめなんですか??」
「……安物のドレス」
グラスを傾けながらさらりと一言。
「カー!! 全く香月さんのよさが全く分かってない!! 香月さん、あっちで2人で飲みなおしましょう!」
「あ、いえ、それは……」

