軽く軽く、できるだけ軽く言ってみる。
「……いいよ。ここからだとすぐそこ。あそこ」
「え、あれ?」
「そう」
言いながら彼は先に歩き始めている。
「何階? 何階まであるの?」
「7階まで。家は5階。病院に近くてね」
「ふーん。病院はどこ?」
「さすがに見えないけど。車で5分くらい」
「あれ、車持ってるの?」
「買ったよ。不便だからな」
「そうだねぇ」
すぐにマンションのエントランスに着く。
「眠いだろ?」
「ちょっとね」
「ホテルでゆっくり寝た方がいいよ」
「大丈夫。まだ若いから」
香月はにっこりと微笑む。
「25……か」
「うん。若いでしょ」
「そうだな」
エレベーターはぐんと上がる。
予告通り5階で止まり、一番奥まで廊下を歩く。
「だんだんあったかくなってきた」
まだ廊下の段階なのに既にコートのボタンに手をかけた。
「あぁ、けどまた部屋は寒いぞ」
カードキーでドアを開ける。
「お邪魔しマース」
「はいどうぞ」
先に榊は中へ入る。
「ちらかってるけど」
「うそぉ?」
そんな性格ではなかった気がする。
「……ほんとだ」
「ソファはあいてるから」
確かにリビングにある対面して置かれた2つの2人掛け用ソファは、物が置かれていなかったが、その間のテーブルの上にはプリントや本が山積みされていた。
「こっちの部屋は?」
「書斎」
更に奥に一部屋あるようだ。
「見ていい」
「あー……うん、いい、かな」
またすごい散らかり具合なのだろうと思っているとそうでもなかった。確かにパソコンの周りには本やプリントが山積みされているが、部屋自体が汚いわけではない。リビングのテーブルの上に比べたら綺麗な方だろう。
ふと窓の外を見ようと側に寄ると、一冊の雑誌に気づく。
あぁ……歯切れが悪い返事をしたのはこのせいか……。
デスクチェアからすぐ手をのばせば届く出窓の棚に、その、読まれた後だと分かる雑誌は置かれていた。
「……いいよ。ここからだとすぐそこ。あそこ」
「え、あれ?」
「そう」
言いながら彼は先に歩き始めている。
「何階? 何階まであるの?」
「7階まで。家は5階。病院に近くてね」
「ふーん。病院はどこ?」
「さすがに見えないけど。車で5分くらい」
「あれ、車持ってるの?」
「買ったよ。不便だからな」
「そうだねぇ」
すぐにマンションのエントランスに着く。
「眠いだろ?」
「ちょっとね」
「ホテルでゆっくり寝た方がいいよ」
「大丈夫。まだ若いから」
香月はにっこりと微笑む。
「25……か」
「うん。若いでしょ」
「そうだな」
エレベーターはぐんと上がる。
予告通り5階で止まり、一番奥まで廊下を歩く。
「だんだんあったかくなってきた」
まだ廊下の段階なのに既にコートのボタンに手をかけた。
「あぁ、けどまた部屋は寒いぞ」
カードキーでドアを開ける。
「お邪魔しマース」
「はいどうぞ」
先に榊は中へ入る。
「ちらかってるけど」
「うそぉ?」
そんな性格ではなかった気がする。
「……ほんとだ」
「ソファはあいてるから」
確かにリビングにある対面して置かれた2つの2人掛け用ソファは、物が置かれていなかったが、その間のテーブルの上にはプリントや本が山積みされていた。
「こっちの部屋は?」
「書斎」
更に奥に一部屋あるようだ。
「見ていい」
「あー……うん、いい、かな」
またすごい散らかり具合なのだろうと思っているとそうでもなかった。確かにパソコンの周りには本やプリントが山積みされているが、部屋自体が汚いわけではない。リビングのテーブルの上に比べたら綺麗な方だろう。
ふと窓の外を見ようと側に寄ると、一冊の雑誌に気づく。
あぁ……歯切れが悪い返事をしたのはこのせいか……。
デスクチェアからすぐ手をのばせば届く出窓の棚に、その、読まれた後だと分かる雑誌は置かれていた。

