「どうする? 一旦ホテルで昼くらいまで寝て、夕方食事でも行く?」
「ううん、そんな時間もったいない」
「どこか行きたい所があるの? 1泊だから限られるけど」
「2泊するわ」
香月は堂々と言い切った。
「……何を(笑)」
「でも時間がないのは同じ。行きましょう」
「どこへ?」
「どこか」
あてもないのに、足だけはどんどん前に進んで行ってしまう。
「……まず荷物くらいは置きに行こう。明日の3時までは時間がある。わりとあるよ」
榊が案内してくれた国際空港のホテルは、それは上等な部屋だったので驚いた。家族旅行の時は父が良い部屋を好むので慣れてはいるが、自力で旅行をしている香月にとって、この贅沢は予定外だった。
「普通の部屋でよかったのに……」
「前払いしてるから」
「えっ、えー!? いくら??」
「いいよ、気にするな」
「えっ、だって、そんなわけにはいかないわ! 大丈夫、まあまあ稼いでるから。仕事もちゃんと行ってるのよ?」
「そうか。仕事にちゃんと行ってるならいいよ。貯金しとけばいい」
「じゃあせめて、食事くらいは出すわ。まず朝ごはんね」
「(笑)。そうだな」
「美味しいとこある?」
「あるよ。毎朝モーニングだから」
「そっか」
2人は荷物をホテルに預けるとすぐに空港を出た。
ホテルの前でタクシーに乗り込み、5分ほど走って榊行きつけのカフェへ入る。
他愛のない話ばかりだった。ずーっと。このパンが美味しいとか、外は寒いとか。ウエイトレスが可愛いとか、メニューの意味とか。
カフェを出てもまだ午前7時半。開いている店はない。
「どうする? まだどこも開いてないけど」
「どうしよう……」
「とりあえず、ホテル戻るか?」
「……久志の家、見たい」
「ううん、そんな時間もったいない」
「どこか行きたい所があるの? 1泊だから限られるけど」
「2泊するわ」
香月は堂々と言い切った。
「……何を(笑)」
「でも時間がないのは同じ。行きましょう」
「どこへ?」
「どこか」
あてもないのに、足だけはどんどん前に進んで行ってしまう。
「……まず荷物くらいは置きに行こう。明日の3時までは時間がある。わりとあるよ」
榊が案内してくれた国際空港のホテルは、それは上等な部屋だったので驚いた。家族旅行の時は父が良い部屋を好むので慣れてはいるが、自力で旅行をしている香月にとって、この贅沢は予定外だった。
「普通の部屋でよかったのに……」
「前払いしてるから」
「えっ、えー!? いくら??」
「いいよ、気にするな」
「えっ、だって、そんなわけにはいかないわ! 大丈夫、まあまあ稼いでるから。仕事もちゃんと行ってるのよ?」
「そうか。仕事にちゃんと行ってるならいいよ。貯金しとけばいい」
「じゃあせめて、食事くらいは出すわ。まず朝ごはんね」
「(笑)。そうだな」
「美味しいとこある?」
「あるよ。毎朝モーニングだから」
「そっか」
2人は荷物をホテルに預けるとすぐに空港を出た。
ホテルの前でタクシーに乗り込み、5分ほど走って榊行きつけのカフェへ入る。
他愛のない話ばかりだった。ずーっと。このパンが美味しいとか、外は寒いとか。ウエイトレスが可愛いとか、メニューの意味とか。
カフェを出てもまだ午前7時半。開いている店はない。
「どうする? まだどこも開いてないけど」
「どうしよう……」
「とりあえず、ホテル戻るか?」
「……久志の家、見たい」

