「うん、レイジさんがロシア行くって言うから一緒に連れてってもらうの。でも、せっかくだから、仕事を休んで、ロンドンにも行こうと思うの」
『……一人で?』
「うん」
『……』
その沈黙が怖くて早口で喋ってしまう。
「英語、全然喋れないからダメかもしれないけど、多分レイジさんが飛行機に乗せてくれるし。あの人、海外よく行くし慣れてるから」
『……』
榊はまだ何も言わない。
「ロシアなんて本当は全然興味ないの。けど、一緒に行く? って聞かれたから……。ピロシキとか有名だよね。でもそんなに美味しそうにないわよね……」
『空港まで迎えに行く』
この長い間に一体榊はどれだけのことを考えたのだろう。
「……あ、ありがとう……」
『乗る便だけ間違えないように』
「あ、うん。それだけ、ちゃんと確認するわ……」
『ロンドンは何泊? ホテル予約しておこうか? 空港のホテルでも』
空港のホテルという、清潔な単語を出すことで、問題がすべてクリアになった気がする。
「あ、うん、いちおぅ……」
そんなことまで考えてなかった。まさか、同じ地で、2人で一緒にいることができるなんて。
うまくいけば同じホテルでいられるかもしれないという打算がすぐに走る。
『じゃあ予約しておくよ、詳細はメールで知らせてくれればいい』
「あ、いいよ、大丈夫。それくらい自分でできる!」
『英語喋れないんだろ?』
榊は薄く笑った。
「うん……」
『いいよ。ちょっと待って。ネットで見てみる』
榊……何でもできる。優しくて、ちゃんと紳士。
非の打ち所がない。
『あぁ、えーと、何日?』
「9日」
『大丈夫、ホテルは空いてるよ。一部屋とっとく。飛行機も見ようか。ああ、ロシアからロンドンは9日の午前5時半か、午後2時に着く便が空いてる』
「五時半」
『大変じゃないか?』
「ううん、いい」
『……一人で?』
「うん」
『……』
その沈黙が怖くて早口で喋ってしまう。
「英語、全然喋れないからダメかもしれないけど、多分レイジさんが飛行機に乗せてくれるし。あの人、海外よく行くし慣れてるから」
『……』
榊はまだ何も言わない。
「ロシアなんて本当は全然興味ないの。けど、一緒に行く? って聞かれたから……。ピロシキとか有名だよね。でもそんなに美味しそうにないわよね……」
『空港まで迎えに行く』
この長い間に一体榊はどれだけのことを考えたのだろう。
「……あ、ありがとう……」
『乗る便だけ間違えないように』
「あ、うん。それだけ、ちゃんと確認するわ……」
『ロンドンは何泊? ホテル予約しておこうか? 空港のホテルでも』
空港のホテルという、清潔な単語を出すことで、問題がすべてクリアになった気がする。
「あ、うん、いちおぅ……」
そんなことまで考えてなかった。まさか、同じ地で、2人で一緒にいることができるなんて。
うまくいけば同じホテルでいられるかもしれないという打算がすぐに走る。
『じゃあ予約しておくよ、詳細はメールで知らせてくれればいい』
「あ、いいよ、大丈夫。それくらい自分でできる!」
『英語喋れないんだろ?』
榊は薄く笑った。
「うん……」
『いいよ。ちょっと待って。ネットで見てみる』
榊……何でもできる。優しくて、ちゃんと紳士。
非の打ち所がない。
『あぁ、えーと、何日?』
「9日」
『大丈夫、ホテルは空いてるよ。一部屋とっとく。飛行機も見ようか。ああ、ロシアからロンドンは9日の午前5時半か、午後2時に着く便が空いてる』
「五時半」
『大変じゃないか?』
「ううん、いい」

