「ほんと、めっちゃかっこいいですよねー」
「どうですか、永作さん?」
「……悪くはないです」
 本日はいつもと少し違った3人で、スタッフルームで昼食をとりながら、一体何を評価しているのか……。
 佐伯はまん丸の目を更に大きくさせて、
「私が知り合った中で、エレクトロニクスの中で一番だと思います!」
「……うーん」
 香月はフル回転させながら過去を検索するが、永作はそれを待たずに
「一番格好良い人は他にもいます……」
 と、小さく発言した。
「えー!?!?」
 2人は周囲も構わず声を上げた。
「どっどっど……」
 香月は動揺を隠せない。
「香月先輩落ち着いて!!」
 佐伯はそれを助けるように、肩を押さえて来る。
「どっどっどこに!?!?」
「落ち着いて、落ち着いて(笑)」
 つい立ち上がってしまったのを、座るように促してくる。 
「だって、どこに他に格好いい人がいるの!?!?」
「そんな私に怒られても……」
「どんな人、どんな人!?」
 香月は珍しく身を乗り出して永作に顔を寄せた。
「真籐さんより格好いい人は他にいるかなって意味です」
 永作は少し照れながらも応える。
「例えば!?」
香月の興奮は冷め遣らない。
「たっ、たとえば……依田さん、とか言うんじゃない!?!?」
「んなことあるわけないじゃないですかー!」
 佐伯は笑いを通り越して怒りを素直に表した。
「いや(笑)、だってさあ……。なんとなく、一番確率低いところから攻めようと思って」
「高いところからにしてください!!」
「じゃあ高いってどこ??」
「うーん、一般的に……うーん……」
「この店舗の中だと、多分一番人気あるのは西野さんなんじゃないかなぁ……」
 香月はある程度の確信をもって答えた。
「え゛、そんな話聞いたことないですよ?」
「え、そう? 何回か聞いたことあるからそうなのかとてっきり」
「それだったら、数の多さだったら。普通に格好いいとかいい感じっていうのだったら、圧倒的に矢伊豆副店長じゃないですか?」
「うーん、あれはなんか数には数えないような……」
「ひどい(笑)」