「あぁ……そうだね……」
 レイジは会話の内容に観念したのか、静かに隣に擦り寄ると、また腕を伸ばして腕枕を要請してくる。
「こういうのは嫌いじゃない?」
「多分嫌いって言ってもするでしょ?」
「しないよ!」
「あ、そうなの? てっきりしたいときにしてるのかと思った。こっちの意思なんかお構いなしで」
「そんな……よく言うよ……」
「……(笑)」
「なんか、僕、勘違いされてるのかなぁ……」
「そんなことないと思うよ」
「そんな気がしない」
「けど……ありがとう。もし、本当にレイジさんがいなかったら、私、もっと酷くなっていたかもしれない」
「そうだね……」
「うん、ありがとう」
 心から素直に、ありがとうと発した。ありがとう、あなたがいて、こうやって優しく支えてくれるから、私、多分、反発して明日も仕事にちゃんと行きたいと思うんだね。