絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅰ 

「愛ちゃんが一番ええんよ!! じゃなかったらそんなわざわざ……」
「確かに、わざわざ遊ぶ必要はないとは思うから、本気なのかもしれないけど」
「そう!!!」
「……なんでそんな必死なの?」
「当然やん!! 好きという気持ちを台無しにするということやからな」
「うーん……」
「まあ。あれよ、ちょこっと付き合ってみたら? まあ、付き合うというか、デートにちらっと行ってみたりとかして……とりあえず、部屋は替えよう!」
「……私、このままがいいなあ」
「それはあかん」
「ユーリさんが手出すかもしれないから?」
「いや、そういうことやないけど。こういうマンションだとどういう人が住んでるかも分からんし、嫌な虫がついてもいかんしね」
「けどそれってユーリさんのこと?」
「いや、まあ、多分違うとは思うけどね……。けどあれよ。つるつるの女になるにはちょと、防音薄いというか」
「何言ってんの!?!?」
「あ、いやその……」
「何その意味!」
 香月はあからさまに、ユーリに嫌な顔を向けた。
「いや……せやから、彼女になってきって意味で……」
「けど私、それほど乗り気じゃないんですよねー。やっぱこのままがいい、何事も」
「そう?……」
「そういう意味では、私はユーリさんのこと、好きなのかもしれませんね」
「それは間違っても、レイの前で言わんように」
「え?」
「俺がなんか吹き込んだと思われる」
「そんな、どうも思いはしませんよ(笑)」
「愛ちゃん好かれてんやで? そこちゃんと意識せな。たとえ愛ちゃんがレイのこと好きでなくても、レイ傷つけることになるよ」
「……それは……そうかも」