シーツを窓から吊るして下を見下ろす。
細くて白い手で白いシーツのロープを握り締めて窓に腰を掛けた。
靴は脱いだ。」
素足で壁を蹴って深い深海に下りていくように、地面に降た途端朝露で湿ったひんやりした触感が伝わって来る。
それは、まるで深海の底のような冷たさである。
そして、靴を履いて逃げ出した。
しばらく走って息を切らして、息をつき、公園を見渡す。
そこに、男はいた。
まつぼっくりと薪を集めるために、公園に寄ったのだ。
そして、二人で1000個の松ぼっくりと薪を集めなくてはならない。
そして、男は鞄を差し出して言った。
「着替えろよ!顔写真とか洋服で検問張られる前に」
そして、トイレに入り、お互い10分後出て来ることになった。
トイレの個室に入り、着替え始める。
取り合えず、服髪の毛をまとめてネットに入れて、カツラをつけた。
茶色のストレートロングヘアは茶色のボブスタイルに変身して、綿の安物のロングTシャツとスカート、古着系で揃えて来たようだ。
最後に、ピンクのカラーコンタクトを瞳に押し込んで外へ出た。
一方男は、短髪から長髪に変身して、鏡の前に立ち、灰色のカラーコンタクトを瞳に押し込み、古着系の服にニット帽をかぶった。
そして、女は男にアイプチを行い、メイクをして肌の色を変えた。
そう、二人とも医療観察法による鑑定入院中なので、脱走がわかれば入院時に撮影された写真があちこちに配布されて捜索活動が行われる身である。
折り畳み式のバックには松ぼっくりと薪を詰め込んで、早朝の列車に乗り込めば数時間後に目的地に着けるはずだ。
空になった鞄に着替えを詰め込んで、松ぼっくりと枝を掻き集める。
1時間程たった頃には鞄一杯の松ぼっくりと小枝が詰まっていた。
二人はもう一度、トイレに行き、乱れた髪を直して早朝の列車に乗り込んだ。
誰もいない早朝列車は寂れた街に向かって走り出して、律儀に誰もいない駅で扉を開け続けた。