「……うるせーな。嫌なら帰れって言ってるだろ、庶民はこういう場所で食事するんだよ」


「帰らないわ」


 せっかくのナツからのデートの誘いだもの! そうよ、どんな店だっていいじゃない!

 頑張るのよ! 茉莉果!


「何にいたしますか? お嬢様」


 ナツが差し出してくれたペラペラしたメニューは、写真つきのカラフルなもので……よく見ると細かくカロリーまで記入されている。


 しかも全て日本語表記でわかりやすいメニュー表。


「すごく丁寧なメニュー表ね」


「そうか? 普通だろ?」


 ファミレス……中々侮れないわね、さすがナツが選んだ店。


「ナツはどのコースにするの?」


 でも正直、注文の仕方がわからない。

 どれが前菜でどれがメイン料理なのかしら?


 こんな時は相手に合わせるのが最大の逃げ道になる。


「俺? 目玉焼きハンバーグ」

「めっめっ……目玉焼き? 嫌ぁ……」


 目玉っ?

 さすがに、目玉料理はちょっと抵抗あるわ。

 なんの動物の目玉かしら?薬膳料理とか?