雨が降ってきた。すっかり日が暮れて、あたりは暗闇に包まれている。

庭園のガス灯が仄かに木々を照らしている。



「お母様、ごめんなさい。私、柏原と話がしたいの」

「茉莉果。ゆっくり休んだ方がいいわよ」


カップに入った紅茶は陽子さんが用意してくれた。



「彼はもう自分の部屋に戻ったよ。この屋敷を少し離れれば、きっと気分も晴れるよ。柏原くんも休せてやりたいんだ」


お父様は、心配そうに私の頭を撫でる。


「お嬢様、荷物の方はかちらでよろしいですか?私が、お手伝いをさせていただきました。必要な物があればなんなりとお申し付けください」



「必要なのは、柏原よ」



「茉莉果、お願い。柏原くんにばかり、わがまま言わないの」


お母様……

私が、わがままなの?



そんなに、わがままなのかしら……