────四時"頃"ホテルのパーティールームに特設された大型スクリーン。今年の話題作と名高い映画が上映されはじめた。



柏原は、暗くなった室内で、ちょっと乱れた黒髪を直し私を睨み付けた。


なによ?

「お嬢様のせいで遅刻です」と呟く反抗的な執事を睨み返す。


私が、何を着ていくか迷っていたら……

柏原は「お嬢様は何を着てもお似合いですよ」とハッキリした態度をとらなかった。

だから、遅れたのは柏原の責任だ。


そんな柏原だけど……

可哀想な事に、この会場には執事の席の用意がない。



柏原は、私を着席させると会場の際に引き下がる。


すると、何故か途端に寂しい気持ちになる。




執事に席がないのは当たり前のこと。


だけど、柏原がすぐ手に届く所にいてくれないと急に寂しくなる。
こんなこと今までなかったのに……