「たった一回のステージで腱鞘炎になるなんて、いかに練習不足か素晴らしい証拠でございますね。お譲様」



「痛い!! 痛い!! 痛いのよー」


優しいアロマの香りと、高価なエッセンシャルオイル。

対照的に、厳しい攻めを繰り返す柏原のマッサージ。でも効果は抜群なのよね。



昨日の演奏で、『腕が痛い』といったら手際よくマッサージをしてくれている執事。


もう少し優しくしてくれたら完璧なのに……



「痛い……ってば!」

「茉莉果様、今日からお体を少し鍛えましょう。貴女の体には筋肉というものが欠如しすぎている」


「いーのよ! ナイフとフォークより重いものは柏原が持てばいいのよ!」


「その考え方から鍛えないとなりませんね」


柏原は盛大なため息をついた。