私はペットです。雌犬です。


「お友達…?少しだけ、心菜を借りてもいいですか?」


私に抱きついたままの優さんが、私越しに菊香に聞いているみたいだ

ってゆうか、今…私の名前…?


「…あげます。だから、もう心菜を傷付けないでください」

「…わかった」


なんで、二人で会話が成立してるの?!

ってゆうか、二人とも見えない…


「じゃ、私は邪魔なので帰ります。けど…桜治様、今度サイン下さい」


おーい…
さっき、ファンやめるって言ってなかったかい?


「うん。何枚でも書いてあげる」

「うはぁ!じゃ、ごゆっくりー?」

「え、ちょっ…菊香!」


私が菊香を呼び止めようとしたが、菊香はルンルン気分でボロアパートから出ていった