ーーーーレオSideーーーー


満月の前夜。



俺はいつものようにシルクのところに向かおうと屋敷を出た。




《待て、レオ。》

「兄さん・・・・何の用です?」


振り向くと、そこには親愛している兄がいた。



《聞くとお前、シルクとか言う女のところに入り浸っているそうではないか。》



「はい。それが?」


《明日は何があるかわかっているだろう?》




儀式だ。


バンパイアは年中人間の血を吸うわけではない。


そして、人間と恋をしてはいけない・・・・


そのため、明日の満月の夜にだけ、人間になれ、16歳になってから、一晩だけ人間と恋をしてもいいことになっている。




ただし、一晩だけだ。


「・・・・大切な儀式です。」



兄はうんうんと頷いた。


《そうだ。わかっているならもう行ってよいぞ。》



「失礼します。」






俺はもう話したくなくて急ぐ。