──クリスティア王国1番街大通り。
カルボーロ王公国へ向かうラミア王女の、盛大なパレード。
体を突き抜けるかのような電流が消えると、レオはそのパレードの主役の乗っている馬車のすぐ脇の馬の背にいた。
忠純の父上に渡され、着ていたはずの、赤糸縅紅葉紋二枚胴具足は、着慣れた銀色の鎧と赤いマントに代わっていた。
隣を歩く馬の背には、親友のロナウド。
クリスティア王国に帰ってきたのだ。
いくら帰ってきたとは言え、今の状況は異常。
レオは頭をフル回転させるが、追いつきそうもなかった。
「しかし、ラミア王女はすごいな。」
「王女…?
王女は、何処へ…」
「はあ?
お前、大丈夫か!?
大事な大事な王女様の結婚で、寂しくなって頭おかしくなったとか言うなよ!?」
「そんなわけないだろう!」
──俺が居ない間に、王女は結婚を決めてしまったと言うのか?
前々から、王女の幸せを願えば結婚が1番と、覚悟はしていたはずなのにな。
こんなに突然だと最早言葉も出ない…。
「ま、カイル王子ならお前も安心だよな。
カルボーロからクリスティアもそんなに離れてないし。」
「あ、ああ…」
──そうか、あのカイル王子か。
昔から、王女を愛しげに見ていた、あの王子か…。
とても、かなわぬな。
レオは誰にも気付かれないよう、小さく苦笑した。