「では、お兄様。
行って参ります。」


「ああ。」


王女はラウロ王子の部屋から出た。


部屋の外には、慣れない銀色のクリスティア王国の紋入りの鎧を見に纏った忠純が控えていた。


「レオ、行くわよ。」


「は。」


忠純は、ラミア王女に付き従って歩き出した。


「ね、レオ。
貴方は私について来てくれるでしょう?」


「え、あっ…、は、は?」


「何よ、そのはっきりしない態度!
もういいわ!!」


ラミア王女はさっさと先に行ってしまった。


──儂が勝手に、この者の身振りを決めるわけには参らぬではないか…。


レオは一度ため息をつくと、ラミア王女の後を追った。


王女にやっと追い付いたのは、クリスティア城本城の大きな扉の前だった。


重く大きな鏡開きの扉は、完全に開いており、扉の向こうには馬車が用意されていた。