柚姫が持っている『物』であれば何でも手に入った。


しかし、『優秀な家臣や侍女』も、『父の目』も全て柚姫が持って行ってしまった。


そう考えた桑姫は、柚姫一番の家臣である忠純を手に入れてやろうと思ったのだ。


それが、姉に対する一番の復讐だと考えて。


それなのに、忠純に完全拒否された桑姫はおさまらない怒りや嫉妬を忠純に向けた。


レオを無理矢理押し倒す。


五条の方も周りの侍女も、桑姫の目には入らない。


「さあ、抱け!
姉上を抱いたその手で、わらわを抱くのじゃ!」


柚姫の母に篤景が母から寝取られたと信じ込んでいる桑姫は、こうすれば男は手に入ると思ってしまっている。


現に、今の自分の守役たちはそうやって手に入れた。


だから、忠純も…。


たしかにこれが純真無垢な忠純ならば、柚姫と桑姫の間で揺れに揺れてぐらぐらになるかも知れない。


守槻の若殿様に嫁いだ柚姫と手篭にされた桑姫の間で、ある意味罪の意識に苛まれてぐらぐらに。


しかし、残念ながら今の相手は純真無垢とは程遠い、むしろこういう事が日常茶飯事過ぎて嫌悪感全開のレオだったのが、桑姫の運の尽きだった。