暫く頭がついて行かなかった忠純だったが、徐々に冷静になり、王女の腕をそっと解いて深く頭を下げた。 そして、王女を説き伏せるように言った。 「貴女様は、私ごときが頂戴して良いお方に非ず。 然るべき御家柄に嫁いで下さいませ。 それこそ、貴女様を頂戴する以上の私の幸せにござりまする。 それに…。」 忠純は一瞬迷ったが意を決して続けた。 「その然るべき御家柄の御方は、貴女様を愛しておいででござりまする。」