「もう、さっきから前が見えないわ」



私は自分の背より高い草花を鬱陶しく思いながら進む。



えーと、親指姫の話と言えば、お婆さんが子供が欲しくて魔女に小さくてもいいから子供を授けて下さいと、魔女に願って叶えて貰うのよね。



で、チューリップにそっくりな花から生まれてきた親指姫をお婆さんが可愛がるんだけど、ある日、蟾蜍に自分の息子の嫁にしようと目を付けられて、川に連れて来られるんだけど、魚達に助けられて川を流れて行く話だったと思うんだけど...



「って、私、蟾蜍のお嫁さんになりかけないとならないといけないの!?」



「そう言う事じゃ」



私は、思わず出した声に返事が返って来て肩を震わせた。



「だ、誰?」



声を上擦らせながら、質問をし、周りを見回す。



徐に横を見ると、時空が歪んだみたいに丸く歪んで、その中から先程まで話していたお婆さんが現れた。



「ヒィィッ!!」



思わず声にならない声を上げた私を見て、お婆さんは呆れ顔になる。



「何を驚いているのじゃ」



「だって、いきなり、空間が歪んで人が現れたのよ!?驚くに決まってるじゃない!」



「これは魔女の力じゃ。儂が折角、汝にする事を教えてやろうと言うのに失礼じゃのう」



「何で魔女じゃなくてお婆さんなのよ!?魔女を出しなさいよ!文句言ってやるわ!」



私が意気込んでいるのを見て、お婆さんは冷たい顔をする。