ゆっくりとバーの入口の扉を押し開ける。 薄暗い店内に足を踏み入れると、一直線にカウンターへと向かった。 相変わらず、休日にも関わらずお客は少ない。 席に座ると浩介さんが微笑む。 「いらっしゃい。今日も待ち合わせ?」 私の前にコースターを置きながら、浩介さんは問いかける。 「あ、はい。ちょっと早く来ちゃって……」 少し俯いて小さく答える。 ハルキと待ち合わせって気負うと早く来てしまう。