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 ホウキに乗って空を飛び、まずは北の国へ向かった。

 フードの中にいるカエルが飛んでいかない程度に、でもしっかりスピードは出して、ギュンッ、と空を疾走する。

「うわあ、凄いですね! もう森があんな遠くに……」

 カエルがさっきまで泣いていたとは思えない、嬉々とした声を上げた。

「景色見るのはいいけれど、落ちないでね。アタシそこまで責任持てないから」

「は、はい、すみません。空を飛ぶなんて初めての事なもので、嬉しくてつい」

 照れ笑いを交えてから、カエルは声の調子を落とした。

「……私の呪いを解いてくれる姫は、見つかるのでしょうか? 情けない話ですが、自信が持てません」

 どうやらさっきのはカラ元気だったみたいね。
 王子にしてみれば、呪いが解けなかった上に失恋しちゃったから、そうそう簡単に立ち直れなくて当然か。

 ……でも、ちょっと気になる事を言ってたわね?
 同情しながらも、セレネーは引っかかった事を尋ねる。

「ちょっと王子、もしかして今までお姫様ばっかり狙ってたの?」

「はい……私が元に戻ることができれば、その方を妃に迎えなければいけませんから。誰でもいいという訳には――」

 こ、この世間知らず!
 と言いそうになるのをこらえ、セレネーは大きく息をついた。

「それ、すごく高望みしているわよ。結婚も最初から考えているんだったら、相手の人となりも見ているんでしょ? 性格よくて、カエルにキスできるお姫様なんて、限定し過ぎだわ。そんな事じゃあ、死ぬまで呪いが解けないわよ」

「……確かにそうですね、立場にこだわりすぎてました。王族は王族と結婚するのが当然だと思っていましたから」