カエルもセレネーも、きょとんとなってその場で硬直する。
 そんな二人とは裏腹に、キラの表情は明るかった。

「残念ねーカエルさん。でも、その姿のほうが好きよ。むしろ私、人よりもカエルのほうが好きだから」

 この一言にセレネーの顔が引きつった。

(王子の中身じゃなくて、カエルの姿に惚れ込んだなんて……なんなのよ、その歪んだ考えは!)

 おそらくカエルが人に戻れば、キラの心はあっという間に離れてしまうのだろう。
 姿が変わっただけで揺らぐ愛情が、呪いに打ち勝てる訳がない。
 期待が大きかった分だけ、落胆も大きかった。