ホウキに乗ってカエルたちから離れると、セレネーは毎度のごとく様子を見るために宿を取り、水晶球で二人の様子をうかがう。

 映し出されたのは、さっきまでいた森だ。
 あのまま二人は木陰に座り、キラが次々とカエルに質問して、メモを取っていた。

(すごい興味持ってくれているわね。カエル好きの目の前に、喋るカエルがいるんだもの、当然か)

 この調子なら安心して見ていられると、セレネーはのんびりくつろぎながら水晶球を眺める。

 期待通り、キラは半日も経たずしてカエルと仲よくなってくれた。
 大切にしてくれているようで、キラは自分の携帯食を分け与えたり、テントで一緒に寝たりと、ほとんど離れる事なく過ごしていた。

 カエルも自分を気味悪がらず、心から喜んで接してくれることが嬉しいようで、キラと過ごす時間はずっと楽しそうな表情を浮かべていた。
 そんな二人が心を通わせる事に、時間はかからなかった。

 一週間も経たずに手応えを感じたカエルが、セレネーの指示を待たずに「実は」と真実を告げた。
 そして呪いを解くための口づけを願いながらプロポーズすると、

「私で力になれるなら喜んで。あ、でも結婚した後も研究はさせて欲しいな」

 あっさり了承して、キラは笑顔でカエルに口づけた。

「よし、手応えありね! しかも今までの中で一番早くキスにこぎつけられたわ。これで王子も元に戻るハズ」

 思わずセレネーから喜びの鼻歌がこぼれる。
 ようやく呪いが解けると、水晶球の前で解呪を待ったが――。

 ――またしてもカエルの呪いは解けなかった。