両手がぎりぎりつくくらいの大きな背中に手をまわすと、凌は一度振り向いてからバイクを発進させた。 さっきより少しゆっくりなスピードで、 生ぬるい風が頬を抜けながら スローモーションみたいに街の景色が移り変わっていく。 今、凌は何を考えてるのかな? 明日のこと? それとも今日のことを思い出してる? もしかしてもっと先のこと? あたしが抱きしめる大きな背中は何も語ってくれないけど その中に少しでもあたしがいたらなーなんて思うよ。 .