「さーなーっ!!」
廊下に響き渡る高い声は、紛れもなく愛子のものだった。
「ぅわっ!」
「きーてきーて♪」
飛びかかるように抱きつく愛子の腕を離しながら、あたしは振り返る。
「なに?どしたの?」
「章太たちが花火やりたいって」
「いきなりだなー」
章太らしいっちゃらしいけど。
「『お前ら花火適当に!こーゆうでっけーのなかったらきれる!』」
愛子は手ぶりをつけながら章太の声を真似る。
「ってさ」
少しにてるあたりが面白くて、思わず吹き出した。
そっか、花火かぁ……
凌もこういうの好きなのかな?
「今考えたね。凌のコト」
手を口にあててあたしの肩をツンツンする。
「か、考えてません〜っ!」
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