私もその前のソファに座り、膝の上で拳を固める。 時間だけが過ぎて行った。 「………おいナギサ」 沈黙に耐えきれなくなったのか、べリアルが話しかけてきた。 「なに」 低い声できき返す。自分でも精気の抜けている声音だ、と苦笑する。 「俺さ………」 べリアルが何かを私に伝えようとしている。とわかり、頭をあげた。すでに日は沈み、あのときと似ている月が部屋を照らしていた。 だが 「時間だ」 時はそれを許してくれなかった。