Side 恋華
昼になって私は着替えて龍牙につれられ、
ある部屋についた。
その部屋にはピアノが一台部屋の真ん中に置いてあるだけだった。
龍牙は椅子に座り
「あの歌、今度は俺の事を思って歌って。」
あの歌って言うのは多分二人ではじめての
演奏した曲の事なんだろ。
あの時は秋の事を思いながら歌った。
それをきっと気づいたんだ…
この曲には秋との思い出が強すぎて、
歌いきる自信も、秋以外の事を思い
歌う事もできるかわからない。
「…わかった。」
そう言ってしまったのは間違いだったのかもしれない。
龍牙の伴奏が始まるのと同時に
秋のあの頃の笑顔がよみがえってきた。
その瞬間私は部屋を飛び出していた。