私の名前を呼んだのは
「・・・・・・秋。」
何で追いかけてきたの?
言いたくても言葉が出てこない、出てくるのは
冷たい涙だけ。
「恋華・・・」
いとしかった声は今では、苦しい。
やさしく微笑むあなたは私の憧れだった。
でもあなたは・・・・
なみだを荒々しく拭き取り
精一杯の笑顔で
「秋も・・・同じ学校だったんだね。」
そんな私を見て秋は、
「恋華会いたかった。」
会いたかった、その言葉が嬉しかったのか
悲しかったのか私はとにかく涙を流した。
すると秋は私を抱きしめた。
大切なものを扱うようにやさしくそして強く。
でも、だめ離れなきゃこの人は・・・・
「秋、離して・・・」
ほんとはこのままずっとこうしていたいけど。
それは望んではいけない。
「いやだ、やっと恋華に会えたのに。」
秋は駄々っ子のように私を離すことを拒んだ。