放課後
私は何となく音楽室へと向かった。
教室に入るとピアノの上に
楽譜が置いてあった。
イタリアの曲で確か日本語で
「私を泣かせて下さい」だったはず。
悲しみにくれる歌、愛する人と
引き離されたヒロインが歌う。
「♪辛い運命に泣き自由に憧れることを許して下さい。」
がらっ
ドアが開き入ってきたのは
“高倉 龍牙”
彼はほおに涙を流し、
「ごめん、廊下から聞こえてきてそれで・・・お前の気持ちが伝わってきた。」
まっすぐ私を見つめる彼の目はどこかはかなげだった。
「ありがとう。この歌は私の思い出の曲なんだ。」
そうこの曲は、あの人を思ってに歌った曲。
大好きなあの人を。
「あのさ、お前なんでこの学校に転校してきたんだよ。」
ボーっとしていた私に
一番いやな質問が来た。