健は高校に入ってから、ずっと桜井さんに片想いしていた。そんな桜井さんから、今告白をされて、もちろん手を握り返したらしい。
 頬を薄く染めて話す健。
彼はわたしが健のことをすきだとは、微塵も気付いていない。今まで何年も一緒にいたから、わたしからのアプローチだって、友情からくるものだと思いこんでいるのだろう。

「桜井さんってかわいい子だよね?よかったじゃん、健」

「ははっ、ありがとう」

 桃音なら、よろこんでくれると思ったんだと言った健はわたしのことをこれっぽっちもわかっていない。
わたしが本当に心の底から、こんなこと思ってるとでも?

 わたしだけの彼をとった桜井さんをわたしは許さないから。
両思いで付き合って、キスして、2人で幸せになるだなんて、そんなこと絶対にさせない。



→あとがき