その言葉を口にすると、明らかにその女性はピクリと反応してみせた
間違いない…
やっぱりこの店に美鈴はいるようだ
けれどその女性は考える仕草をして見せた後
「アサミに何か用かしら?」
すぐに呼んでくれる気はないようだ
それはそうかも知れない
こんな商売をしていれば、色んな奴が来るだろうし、その度に本人を出していればトラブルに発展する可能性もあるだろう
でも、何て言おう…
この女性が美鈴の事情をどこまで知っているのかわからない
けれどこの女性の態度を見ていると、友達と言ってすぐに出して貰えとも思えなかった
「美鈴────!!」
─────!?
突然、後ろからそんな綾香の声が聞こえて振り向くと
「美鈴─────!?
いるんでしょ!?出てきてよ!
あたしよ!綾香だよ!
会いに来たんだから!!
出てきて────!!」
綾香は我慢できないとばかりにそう叫び出していた
「…お嬢さん…落ち着いて…」
「綾香…」
俺とその女性が綾香を宥めようとした時に
カタンッ────────‥‥……
店の奥のベルベットの重厚なカーテンで仕切られた場所から誰かが出てくる気配を感じた



