俺はその建物を見上げていた
そこはビルの1階部分に当たるところにお店を構えていた
大きくはないけれど、とても品のある雰囲気の看板と扉の装飾
それはどこか外国のアンティークを思わせるようだ
その雰囲気とは反対にお店の名前は和風
「CLUB 雛罌粟-hinageshi-…かぁ…」
隣で綾香がお店の名前を読み上げる声が聞こえた
まだ明るいせいで看板のネオンは消えている
それは予想していた
仕事の邪魔はしたくない
いや…
本音を言えば他の男相手に接客している美鈴を見たくなかった
だから仕事が始まる前にどうしても逢いたくて早めに出て来たのだ



