どうしてですの?


意地を張らずに戻っていらっしゃいな



『私はどうしてだか分からずに…美鈴様にそのままその気持ちをぶつけましたが、美鈴様は静かに首を横にふってお話になりました…』




──今、お父さんは仕事に出かけているの


日雇いの小さな仕事だけれど
やっと自分の力で再び歩き出そうとしてる



今ここで、誰かの支援を受けてしまうと…忽ち元のお父さんに戻ってしまうから…



だからごめんなさい…


そちらには戻れない




『美鈴様のその顔は穏やかでしたが、強い決意の様なものを感じることが出来ました

私もそれ以上無理じいは出来なくて…』




──渚様のことは心配ではないんですの?




『私は最後に思わずそんなことを聞きました…
今思うと…なんて残酷な質問でしょう…気にならないわけがないのに…

けれど予想外に美鈴様はとても晴れやかな笑顔をしていて…』






──橘先輩は大丈夫



あの人は私が居なくても立派な人生を歩んでくれる



そんな太陽の様な人だから



だから私のことを言って困らせたりしないで



どうか私達をそっとしておいて…







『私は美鈴様と約束をしました…このことは渚様には伝えないと…』