【完】キミがいた夏〜Four years later〜




希美ちゃんはそんな渚の言葉を聞いて、再び品の良い微笑みを浮かべた



「何ですの?」



こういうところも昔と変わっていない



渚の役に立てることが心底嬉しそうに見える



けれどその笑顔は渚の次の言葉ですぐに消える



「美鈴のことなんだけど…」


「え…?」


「もう一度探してほしい…」



渚の懇願するような瞳



それを見つめる希美ちゃんの顔には疑問と失望が浮かんでいた



「渚様…まだ諦めてないんですの?
もういい加減に忘れた方が…」



渚に従順な筈の希美ちゃんらしからぬ物言いだけれど、希美ちゃんは美鈴のことに関しては以前からこの姿勢を崩してはいない



「美鈴様が帰ってこないのは、その必要性を感じていらっしゃらないからだと何度も言いましたでしょう?
それに探すと言ったって情報が少なすぎて…」


「それなら大丈夫だ」


「え?」


「県内とその近辺のクラブやスナックをしらみ潰しに当たってくれ」



希美ちゃんはその言葉を聞いて目を見開いていた