【完】キミがいた夏〜Four years later〜





────その瞬間



突然の強い風が目の前を通り抜ける




──────────────────────────────ブワッ………‥‥‥!!!




「……っ…」



少し砂が舞い上がって、とっさに手で目の辺りを覆った



勢いよく吹き付ける風に、Tシャツとズボンが体に張り付く




「あ……っ!」



そんな声が前方から聞こえて、薄目で少し離れた場所に立っていた女性の方に目をやると



日傘が風にあおられて道路の向こう側に飛ばされていた



彼女はその日傘が飛ばされていく方向に、顔だを向けて目で追っている



栗色のウェーブがかった長い髪が風に吹かれて、彼女の顔を隠し続けていた



そしてやがて強い風は弱まり



嘘のようにピタリとその勢いを止めた



何もかもを静止させるように



静かに目の前の彼女の顔があけていく



それと同時に俺も視界をはっきりと取り戻し始めていた




ドキンッ────────────────…………‥‥‥