そこに立っている人は全身真っ白な服装で何かの本から飛び出して来たかと思うような出で立ちをしている
少しフリルをあしらった白いワンピースは、風に揺られてパタパタとその裾を後ろになびかせていた
そして、肌を隠すように羽織られた薄手のカーディガンも白
その顔を隠すように差されている日傘も白
そしてスカートの裾から申し訳程度に出ている細い足も真っ白で
そこに色があるとすれば、顔を隠している日傘から見えるウェーブがかった栗色の長い髪ぐらいだった
俺はその人の姿を見てなぜだか胸が高鳴って行くのを感じた
女の人にこんな感情を抱いたのはいつぶりだろう
彼女に近づいてみたい
こんなところでナンパ紛いのことをするなんて思いもしなかった
でもどうしても心引かれる
俺は綾香と来ていることも忘れて
その女の人に近づこうと、一歩、足を踏み出した



