「ねえ美鈴」 「何?」 「もし美鈴がいて渚が優勝したらどうする?」 「……」 美鈴はそれを聞くと押し黙ってしまった カーステレオを切っていたせいで車の中は余りにも静かだった また降りだした雨がフロントガラスを叩く音 それと一緒に私の携帯電話がメールの着信を知らせた 《セミファイナルが始まるよ!》 私はそれを信号待ちで確認した そのメールは都さんからで、トビーさんももちろん応援に行っている 前を向くとどこまでも続く車の渋滞 渚… どうかファイナルまで勝ち進んで