美鈴は渚の質問を無視して携帯電話を背中に隠しながら立ち上がると 「じゃあ…帰るから!」 そのまま踵を返して、リビングを出て玄関から勢いよく飛び出して行った 渚は、そんな美鈴を引き留めることも 追いかけることもしなかった ただボーッと、今見た現実を確かめるように 瞳は空を切っていた 美鈴… どうして、あんなに不安そうな顔をするんだろう 美鈴が携帯電話に付けていたあれは… 美鈴が高校の時にとても大切にしていたモノ 美鈴… あなたはやっぱり… そしてあなたは何をそんなに怯えているの?