「優しい感じのイケメンって誰なの?」


疑問に思って尋ねる。


「中2の夏に海でナンパしてきた男。大学生だった。中学生とは知らずにナンパしたんだって。夏休みの間だけ付き合った」


「えー!」


思わず、叫んでしまった。


全然知らなかった。


これには、たまげた。


「それで?」


続きが気になる。


「うん。5股かけられててさ。結局、捨てられたんだよ。最悪の男だった。処女まで捧げたのに」


花音の声は曇る。


「嘘でしょ? 花音の初めての相手は同じマンションに住む年下の男の子じゃなかったっけ?」


「ううん。その子は、その次に付き合ったの。薫には内緒にしてた。ごめん」


「なんで?」


「うーん。ちょうどあん時、ケンカ中じゃなかったっけ? 口も利かない仲だったような……」


そういえば、花音とケンカしていた時期があった。


それが、中2の夏だったと記憶している。


一緒にいる時に些細なことで口論になったんだった。


でも、仲直りして今があるんだけれど花音のことなら何でも知っていると思っていた。


これは、ショックだ。