花音が結婚を誓う。


媒酌人が花音の横に立って手袋とブーケを預かった。


これから、指輪の交換が行われるんだろう。


牧師がピンク色のハートの可愛いリングピローを二人の前に出す。


リングを取ると店長が花音の左指にはめた。


花音もリングを店長の左指にはめた。


そして、二人は向かい合った。


店長が真剣な顔付きでベールを上げる。


花音はすでに目を瞑っていた。


花音の方が背が高い。


店長は爪先立ちでキスをした。


誓いのキスが終わると、再び参列者が立ち上がった。


讃美歌を歌うためだ。


その時に何気なく新郎の参列者の方に目をやった。


バージンロードを挟んで右の席に座っている。


魅力的な男性が立っていた。


頭一つ抜けて目立つ人だ。


スーツの似合う、その人は私が結婚する相手だと信じていた、あの人だった。


その人を花音に招待客リストへ入れるよう告げたのは私だ。


仲間はずれはよくないと思ったからだ。


それに、私は吹っ切れていた。


もう、過去は振り返らない。