しばらく全力で走った。
フツーなら聞こえる繁華街の雑音も今のあたしには何も聞こえなかった。
ただ、あの男の言葉がずっと頭の中をループしている。
気づいてほしいなんて、見つけてほしいなんて、思ったこと一度もない。
あたしは、誰にも救いを求めたことなんてない。
だって、もうずっと1人だから。
慣れたものよ。
今更、誰にも救ってほしいなんて思ってない。
あたしはもう汚れてるの。
あと戻りできないくらいに。
あたしにお似合いなのはこの繁華街。
このラブホたち。
それ以外にあたしの居場所なんてない。
ある程度走って足を止めた。
「お姉さんっ!
こんなとこで何してるのー?
制服なんて風邪引いちゃうよ?
おじさんと温かいとこ行こっか?」
そう。
どうせ、あたしはこんな汚い。
オヤジらを相手にする方がお似合いなの。
「……7万くれるんなら、ヤったげる。」

